『なんで僕に聞くんだろう。』あらすじ・感想・レビュー

書籍

人間関係全般、仕事のこと、エトセトラ。何かに悩んだ時、そして自分自身ではその悩みを抱えられないと感じた時、誰かに相談したい、話を聞いてほしいと思う瞬間は誰にでも訪れると思います。

そんな時、あなたは相談相手として誰を選ぶでしょうか。

その相手はよく見知った、家族や友人恋人といった存在かもしれませんし、時には、普段の自分の生活圏とは遠く離れた赤の他人かもしれませんね。ネットの掲示板とか、病院の先生とか、占い師さんとか。

本書は、そんな相手として多くの人から選ばれている写真家・幡野広志さんへの相談と彼の回答をまとめた1冊となっています。

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『なんで僕に聞くんだろう。』概要

2017年に多発性骨髄腫という血液のガンを発症し、余命3年と医師から宣告された写真家の幡野広志さん。

本書は、そんな彼のもとに寄せられるさまざまな人生相談に対して毎週真摯に、そして独自の視点で答えていく人気の連載『幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。』から選りすぐりの相談内容・回答をピックアップした1冊となっています。

連載については下記のページから、毎週月曜更新でチェックすることができます。

幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。
写真家・幡野広志さんは、2017年に多発性骨髄腫という血液のガンを発症し、医師からあと3年の余命を宣告されました。その話を書いたブログは大きな反響を呼び、たくさんの応援の声が集まりました。想定外だったのは、なぜか一緒に人生相談もたくさん送られてきたこと。この連載では、Twitterなどで相談に応えてきた幡野さんが、文字...

『なんで僕に聞くんだろう。』のレビュー・感想

誰かに自分自身の悩みを打ち明けようと思ったとき、身近な人にしろそうではないにしろ、相談相手としてこの人がいい!となる理由の根底には、その相手との関係性がどうあれ、こんな条件があるんじゃないか、というのが、本書の「はじめに」のところで書かれています。

幡野さんが、自分のもとになぜ相談が来るようになったのか、その理由について最近わかってきた、と書いている部分です。

相談を受けるとここぞとばかりに、相談者のことを否定して自分の考えを押し付ける人がいる。場合によってはそのまま説教や批判をしだす人や、「昔はさぁ〜」とまったく役に立たない過去の話をしだす人がいる。
(中略)
彼らはただ自分の話をしたいだけなんです。ぼく自身も過去に先輩などに相談して、これをやられて嫌になった記憶がある。そういう人には二度と人生相談をしていない。
こういうことは少なくないのだ。だから周囲に相談できる人が見つからず、ガン患者に人生相談をしてしまう。

この本は元々cakesでの連載を読んでいて、手元に書籍を置いておこうと思った時にkindleでのセールに乗じて買った一冊でした。

連載タイトルにもある通り、幡野さんとしては「なんで僕に聞くんだろう」という疑問を抱きつつ、そして、何度か本書内での回答でもこの言葉が出てくるんですが、

不倫や結婚していながらの風俗業への従事、死にたいという気持ち。

おそらく幡野さん以外の人に相談したら頭ごなしの否定から入り、受けた側からの”お説法”に終始しかねない相談内容も多く取り上げられています。

けれど、幡野さんは自分語りばかりということはしないし、そもそもめったに否定からは入らない。

めったに、というのはたとえば”毒親”の片鱗が見える方には、未来を生きるその相談者のお子さんの将来を考えての回答になってしまうので結果として相談者自身にとっては否定になってしまいかねないこともあるのですが、

そうした事情を除けば、否定から入る形の回答の仕方はおろか、各相談者の、相談の文面には書かれていない行間を読み取っていくような姿勢が見られます。

この言葉にはこういう背景や裏側があるのではないかと読み解き、その上で寄り添うような丁寧な回答の文面に、

相談者の方々の状況に当てはまらなくても、ハッとさせられるような、考えさせられるような、それでいてどこか、自分のこれまでを振り返ってホッと安心するような、そんな要素が散りばめられているように感じるのです。

おそらく幡野さんに聞いてもらいたいと彼に相談文を送る方々だけではなく、第三者として毎週の連載や本書を読んだ人が感じる”安心感”のは、先程紹介した「はじめに」の文面に記されている幡野さんの思いがその根底にあるのだろうと思います。

あと、否定から入り、お説法と自分語りで終わってしまう、結局何の解決にもならない、相談の受け手側の自己満足で終わってしまう回答ではないことと同時に、

幡野さんはほとんど”これがいいんじゃない”とハッキリとした選択肢を示さないのも、良さなのではないかなと感じています。

それは幡野さん自身が、自分が提示した選択肢を選んだ結果の責任を取り切れないことを十分に理解しているから、というのもあるのかもしれません。

けれどそこに、責任が取れないから突き放す、という姿勢が見られるわけではなく、可能な限りの選択肢は記されているように思います。

ここまでは伴走するけれど、あとは自分次第だよ、と。

補助輪を外した自転車で練習している時に、途中まで支えながら手伝ってくれる、そんな親御さんみたいな感じでしょうか。

寄せられる相談文に回答するときは、もし自分の息子に同じ相談をされたら、という意識で回答している、とのことなので、そんなふうに感じられるのかもしれません。

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『なんで僕に聞くんだろう。』まとめ

というわけで、『なんで僕に聞くんだろう。』を紹介してきました。

ちなみに本書の元になっているcakes上での連載は、過去の回答を全文閲覧するのに月額有料会員登録が必要となってきます。

幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。
写真家・幡野広志さんは、2017年に多発性骨髄腫という血液のガンを発症し、医師からあと3年の余命を宣告されました。その話を書いたブログは大きな反響を呼び、たくさんの応援の声が集まりました。想定外だったのは、なぜか一緒に人生相談もたくさん送られてきたこと。この連載では、Twitterなどで相談に応えてきた幡野さんが、文字...

普段の連載はどんな感じなのかな、という興味がある方は、有料登録する前にまず本書を手にとってみてもいいかもしれません。

よかったらぜひこの機会に読んでみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)

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