映画『それでもボクはやってない』 観終わってから、ずっと胸に残るもの

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映画を観終わったあと、「これは他人事じゃないな」と思ってしまう作品ってたまにありますよね。

『それでもボクはやってない』は、まさにそんな一本。

派手な演出やわかりやすいカタルシスはなく、全体に静かで淡々とした空気が流れているのに、なぜか心だけは落ち着かない。

観る前よりも、日常の見え方が少し変わってしまうような、不思議な余韻を残します。

今回は、そんな『それでもボクはやってない』を紹介していきたいと思います。

映画『それでもボクはやってない』概要

映画『それでもボクはやってない』は周防正行氏が監督・脚本を務めた2007年公開の日本の映画です。

あらすじは以下の通り。

通勤ラッシュ時に電車に乗っていたフリーターの徹平は、電車を乗り換える際に女子中学生から痴漢行為を問いただされ、そのまま駅事務所、そして警察へと連行される。警察、検察の執拗な取り調べにも、徹平は「ボクはやってない」と答え続けるが……。
それでもボクはやってない:作品情報・キャスト・あらすじ|映画.com

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映画『それでもボクはやってない』のレビュー・感想

『それでもボクはやってない』は、観終わったあとにしばらく言葉が出なくなるタイプの作品でした。

派手な演出も、感情を煽る音楽もほとんどないのに、胸の奥にずしっと重たいものが残る。静かなのに、やけに疲れる映画です。

痴漢冤罪というテーマ自体は知識としては知っていても、「もし自分だったら」という想像をここまで具体的に突きつけられることは、なかなかありません。

主人公はごく普通の青年で、特別に強い正義感があるわけでも、ヒーロー的な人物でもない。

だからこそ、状況がひとつひとつ積み重なって、気づいたら取り返しのつかない場所まで追い込まれていく過程が、とにかくリアルで苦しいです。

印象的なのは、悪意のある“敵”がはっきり存在しないこと。警察も検察も裁判官も、それぞれの立場で「仕事をしている」だけなんですよね。

でも、その“正しく仕事をする”という行為が、個人の人生を容赦なく削っていく。

その冷たさが、この映画の一番怖いところだと思います。

裁判のシーンも、ドラマチックな逆転劇はなく、淡々と進んでいくのが逆にしんどい。

証言や書類、言葉の選び方ひとつで、真実とは関係なく空気が決まっていく感じが、観ていて何度も胃がきゅっとなりました。

「事実」よりも「そう見えるかどうか」が重視される世界の怖さが、これでもかというほど描かれています。

そして、この作品が一番残酷なのは、「無実を証明すること」と「普通の生活に戻ること」はイコールではないと突きつけてくる点かもしれません。

たとえ結果がどうであっても、失われた時間や傷ついた尊厳は、簡単には元に戻らない。その現実を、逃げ場なく見せてきます。

正直、楽しい映画ではありません。
でも、「知らなくていい話」でもない。

観る側に覚悟を求めてくる作品だからこそ、今も語り継がれているんだと思います。

観終わったあと、「もし自分だったら」「もし身近な人だったら」と考えずにはいられない。

そんなふうに、日常の足元を少し揺さぶってくる映画でした。

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映画『それでもボクはやってない』まとめ

というわけで、映画『それでもボクはやってない』を紹介してきました。

ちなみに『それでもボクはやってない』ですが、Amazonプライム会員はレンタルですがプライム・ビデオで鑑賞することができます。

よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)