映画『隣人13号』 あの頃は気づかなかった違和感の正体

映画

子どもの頃、なぜか「これは観ていい」「これはダメ」と線を引かれていた映画ってありませんでしたか。

理由はよく分からないけど、とにかくそういう決まりがあって、大人になってからふと思い出すことがある。

『隣人13号』は、私にとってまさにそんな一本です。

当時は深く考えずに観ていたけれど、時間が経った今あらためて向き合うと、「ああ、だからこの映画は特別だったのかもしれない」と思わされる。

派手さや分かりやすさとは少し違うところに、静かに引っかかるものがある作品です。

今回は、そんな『隣人13号』について、あらためて振り返ってみようと思います。

映画『隣人13号』概要

映画『隣人13号』は、井上三太氏の同名漫画を原作として2005年に公開された日本の映画です。
R指定。

あらすじは以下の通り。

10年ぶりにこの地元に帰ってきた青年・村崎十三。彼は小学生の頃、赤井トールから凄まじいイジメを受け、今その復讐を果たすために戻ってきたのだった。さっそく赤井と同じ職場に就き、機会を伺う十三。だが、彼の存在は赤井に忘れられていたうえ、またしてもイジメを受けるハメに。しかし、十三の体内には全く別の人格で凶暴な“13号”が潜在していた。13号は、赤井を殺すことで復讐を達成しようと徐々に凶暴性を増していく。ところが、その凶暴性は度を超えていき、もはや十三の力で自制することが出来なくなっていた…。
映画『隣人13号』 – all cinema

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映画『隣人13号』のレビュー・感想

『隣人13号』を観たあとの感覚って、正直ちょっと言葉にしづらいところがあります。

スカッとしたいとか、感動したいとか、そういう気持ちで観る映画ではないのは間違いないと思ってるんですが、観終わったあとに妙に頭の中に残り続ける、そういうタイプの作品だと思います。

実はこの映画を観ながら、ふと昔のことを思い出しまして。

私の家庭では、というか主に母の意向だったんですが、我が家では『バトル・ロワイアル』の鑑賞が禁止されてたんですよね。

映画公開当時は15歳に満たなかったのでそれは当然として、15歳を超えてもかなり厳しく止められていた記憶があります。
(結果として大学生になって母が泊まりで出かけた日を見計らってこっそり鑑賞したんですが)

ところがなぜか、『隣人13号』はOKが出た上に何なら一緒に観たんですよね。

もしかしたら一緒に観たあとに母も後悔したかもしれませんが、当時はこの「バトルロワイヤルはダメで隣人13号はOK」の理由がよく分かりませんでした。

でも、今あらためて観てみて、「ああ、こういうことかもしれない」と腑に落ちた気がします。

『隣人13号』には確かに暴力や残酷な描写があります。

でもそれは見せ場として消費されるものではなく、ずっと重たく、後味の悪いものとして画面に残り続ける。

観ていて楽しい暴力では決してないし(そもそも見ていて楽しい暴力なんてないと思いますが)、むしろ観る側の気持ちを試すような描かれ方をしているんですよね。

派手な演出や分かりやすい盛り上がりがあるわけではないのに、終始「嫌な空気」が全体に漂う不穏さも印象的です。

じわじわ続く感じがあって、気がつくとこちらの気持ちまで少し重たくなっている。

いじめや暴力といったテーマを真正面から扱っているからこそ、目を逸らすのも違う気がしてきます。

中村獅童さんと新井浩文さんの演技も強烈で、「普通の隣人」という皮を被りながら、内側に抱えているものが少しずつ露わになっていく過程が怖い。

感情を爆発させる場面より、むしろ抑えている瞬間の方が記憶に残ります。

静かなシーンほど、観ている側の想像力を容赦なく刺激してくるんですよね。

この映画が印象に残るのは、単純な善悪や勧善懲悪に回収されないところにもあると思います。

誰かが完全な被害者で、誰かが完全な加害者、という分かりやすさを避けていて、その曖昧さがとても現実的だと感じました。

決して万人向けの作品ではないし、軽い気持ちでおすすめできる映画でもありません。

でも、「暴力をどう描くか」「それをどう受け止めるか」を考えさせられる一本ではある、と感じるのです。

昔なぜこの映画だけが許されていたのか、その理由を今になって少し理解できた気がする――そんな不思議な余韻を私の中に残す映画でした。

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映画『隣人13号』まとめ

というわけで、映画『隣人13号』を紹介してきました。

ちなみに映画『隣人13号』ですが、Amazonプライム会員はプライム・ビデオで鑑賞することができます。

よかったらこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)