海外を舞台にした漫画と聞くと、どこか特別な出来事や派手なドラマを想像しがちですが、必ずしもそうとは限りません。
成田美名子さんの『エイリアン通り』は、タイトルの印象とは少し違う、静かでやさしい空気をまとった作品。
異なる文化や価値観が交差する場所で描かれる物語は、読み手の立場や年齢によって、受け取り方が少しずつ変わってくるはずです。
派手さはないけれど、不思議と記憶に残る――そんな漫画を今回は紹介していきたいと思います。
漫画『エイリアン通り』概要
『エイリアン通り』は1980年〜1984年にかけて『LaLa』にて連載されていた成田美名子さんの漫画です。
あらすじは以下の通り。
容姿端麗、頭脳明晰、学園のヒーロー・シャールのまわりは、謎と危険の香りでいっぱい! スリリングでハートフルなアメリカン・ストーリー!!
引用元:エイリアン通り(ストリート) 1|白泉社
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漫画『エイリアン通り』のレビュー・感想
『エイリアン通り』は、ひとことで言うと「肩の力がふっと抜けるのに、あとからじんわり効いてくる青春漫画」です。
タイトルだけ見るとSFっぽさを想像してしまいますが、宇宙人は出てきません。
舞台はロサンゼルスの下町。そこで暮らす留学生やアメリカ以外の出身国を持つ若者たちの日常が、驚くほど自然な温度で描かれていきます。
この「何か大事件が起きるわけじゃないけど、確実に人生が進んでいく感じ」が、とにかく心地いい。
主人公のシャールは、アラビア半島の架空の小国「ジャザイリー首長国」からやってきた留学生。
言葉も文化も完璧にはなじまない、いわば“よそ者”の立場にいます。でもこの作品、異文化ギャップを大げさに描かないんですよね。
戸惑いもあるし、摩擦もあるけど、それ以上に「人と人が一緒に過ごす中で、少しずつ距離が縮まっていく」過程を丁寧に追っていく。
登場人物たちが本当に魅力的で、誰もが少しずつ不器用。強気だったり、皮肉屋だったり、優しかったりするんだけど、そのどれもが作り物っぽくない。
会話のテンポも軽やかで、何気ないやり取りの中に、その人の背景や価値観がちゃんと滲んでいます。
成田美名子さんらしいのは、絵の線が柔らかくて、空気感をすごく大事にしているところ。
事件が起きることもあるけれど、それを派手に演出したりせず、ふとした表情や間で「この人、今ちょっと傷ついたな」とか「今、安心したな」って伝わってくる。
読んでいて、視線の置き場がとても優しい漫画です。
恋愛も描かれていますが、ベタベタしすぎないのも好印象。好きになる過程も、関係が変わっていく感じも、ちゃんと時間が流れている。
だからこそ、読後に残るのはドキドキよりも「いい時間を一緒に過ごしたな」という余韻だったりします。
『エイリアン通り』というタイトルは、「異星人」という意味じゃなくて、「ここでは少し異質な存在」というニュアンスがしっくりくる作品。
誰しも一度は感じたことのある、居場所のなさや、でもそれでも誰かと繋がりたい気持ちを、やさしく肯定してくれます。
大きなドラマを求める人にはちょっと物足りないかもしれません。
でも、静かな青春、異文化の空気、人との距離感が好きな人には、きっと長く心に残る一冊です。
読み終えたあと、少しだけ世界が広く感じられる。そんな漫画だと思います。
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漫画『エイリアン通り』まとめ
というわけで、漫画『エイリアン通り』を紹介してきました。
よかったらぜひこの機会に読んでみてください。
この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)


