映画『天使の卵』 淡くて痛い、あの頃の感情を思い出す一本

映画

何気ない夜に、ふと静かな映画を観たくなることがあります。

大きな出来事や派手な展開よりも、心の動きや空気感をゆっくり味わいたい、そんな気分のときです。

今回紹介する『天使の卵』も、まさにそんなタイミングで出会いたい一本。

今回は『天使の卵』という作品全体に漂う雰囲気や、観終わったあとに残る感触を中心に、この映画の魅力を少しずつ言葉にしていこうと思います。

映画『天使の卵』概要

映画『天使の卵』は村山由佳さんの恋愛小説『天使の卵-エンジェルス・エッグ』を原作として2006年に公開された日本の映画です。

あらすじは以下の通り。

19歳の歩太には夏姫という恋人がいるが、ある日電車で出会った女性にひと目惚れしてしまう。数日後、父親が入院している精神病院でその女性・春妃と再会した歩太は、彼女が父親の新しい主治医で、夏姫の姉であることを知る。やがて歩太と春妃は深く愛し合うようになるが、2人の前には思わぬ運命が待ち受けていた……。
引用元:天使の卵:作品情報・キャスト・あらすじ|映画.com

[sponsered link]


映画『天使の卵』のレビュー・感想

『天使の卵』は、静かで繊細で、そしてどこか危うい空気をまとった恋愛映画でした。

観終わったあと、胸が締めつけられるような感覚と、言葉にしきれない余韻がじんわりと残ります。

物語そのものは決して派手ではありません。大きな事件が起こるわけでもなく、ドラマチックな展開が連続するわけでもない。

それでも心を奪われるのは、登場人物たちの感情の揺れがとても丁寧に描かれているからだと思います。

視線の交わし方や、少しの沈黙、言いかけてやめた言葉。そういった“隙間”の表現が、この映画の核になっているように感じました。

主人公の繊細さは、ときに不器用で、ときに危うくて、観ているこちらまで息をひそめてしまうほど。

誰かを想う気持ちは純粋なのに、その想いがまっすぐ進めないもどかしさが、胸にじわじわと広がっていきます。

若さゆえの未熟さと、どうしようもなく本気な感情。そのアンバランスさが、とてもリアルでした。

映像も印象的です。光の入り方や色味が柔らかく、全体的にどこか淡い。まるで記憶の中の風景を見ているような感覚になります。

きらきらしているのに、少しだけ影がある。その雰囲気が、この物語の切なさをより際立たせていました。

また、音楽の使い方も絶妙でした。感情を煽りすぎることなく、そっと寄り添うように流れる旋律が、シーンの余韻を深めてくれます。

静かな時間が多いからこそ、ふとした瞬間の音が強く心に残る。そんな作品でした。

この映画は、観る人によって評価が分かれるかもしれません。展開の速さやわかりやすさを求める人には、少し物足りなく感じる可能性もあると思います。

でも、心の機微や繊細な関係性を味わいたい人には、きっと強く刺さるはずです。

「好き」という感情は、いつも幸せだけを連れてくるわけではない。むしろ、苦しさや迷いと隣り合わせであることのほうが多いのかもしれない。

映画『天使の卵』は、そんな不完全で痛みを伴う愛のかたちを、静かに、しかし確かに描いた作品でした。

派手さはなくても、忘れがたい余韻を残す一本。心が少し疲れているときや、誰かを想う気持ちについて考えたくなった夜に、そっと手に取りたくなる映画です。

[sponsered link]


映画『天使の卵』まとめ

というわけで、映画『天使の卵』を紹介してきました。

よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)