漫画『いつもポケットにショパン』 静かな音楽が心に残る理由

漫画

音楽を題材にした少女漫画、と聞いて思い浮かべるイメージは人それぞれだと思います。

『のだめカンタービレ』に代表されるようなきらきらした青春や、才能ある若者たちの成長物語を想像する人も多いかもしれません。

でも、くらもちふさこさんの『いつもポケットにショパン』は、そうした先入観を少しだけ裏切ってくる作品です。

静かで、柔らかくて、どこか切ない空気がページの端々に流れていて、読んでいるうちに自然と気持ちが内側へ向いていく。

今回はそんな一冊について、ゆっくり振り返ってみたいと思います。

漫画『いつもポケットにショパン』概要

『いつもポケットにショパン』はくらもちふさこさんによる1980年代の日本の少女漫画です。

あらすじは以下の通り。

幼なじみの麻子と季晋は遊びもピアノのレッスンも、何をするのもいっしょだった。しかし、季晋は音楽留学したドイツで列車事故に遭い、そのまま消息を絶ってしまう。数年後、二人はピアノを通じて再会するが、季晋はまるで別人のように麻子を憎むのだった…。
いつもポケットにショパン 1|集英社

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漫画『いつもポケットにショパン』のレビュー・感想

『いつもポケットにショパン』は、「少女漫画」という言葉から連想される甘さや分かりやすさとは、少し違うところにある作品だなと改めて感じました。

タイトルだけ見るとしっとりした音楽漫画、繊細な恋愛ものというイメージを持つ人も少なくないかもしれませんが、よくよく振り返ると作品中で起きている出来事はかなり波乱万丈なんですよね。

まず主人公・麻子とピアノを共にした幼馴染の季晋(きしん)は音楽留学先のドイツで列車事故に遭い、突然消息不明になります。

生死すら分からないまま時間が過ぎ、麻子は彼を失った喪失感を抱えたまま成長していくんですよね。

そして数年後、音楽学園で再会した季晋は、かつての面影を残しつつも、麻子を拒み、まるで憎んでいるかのような態度を取る。

再会=救い、にはならないところが、この作品の容赦なさです。

さらに物語をややこしく、そして深くしているのが、麻子と季晋、それぞれの母親同士の関係性。

音楽をめぐる過去の感情や選択が、本人たちの知らないところで絡まり合い、その影が子どもたちの人生にまで落ちてくる。

誰か一人が明確に悪いわけではないのに、確実に傷は残っている、という描かれ方がとてもリアルです。

事故、別離、再会、拒絶、家族の因縁――要素だけ並べれば相当ドラマチック。

でも『いつもポケットにショパン』は、それらを大げさな演出で盛り上げることはしないところも特徴的です。

感情が爆発したりということもほとんどなく、音楽の余白のような静けさの中で、少しずつすれ違いが積み重なっていく。

だから読み終えたあとに残るのは「大事件があった」という印象よりも、「どうしてこんなところまで来てしまったんだろう」という静かな重さ。

穏やかに見えて、実はかなりハード。事件は多いのに、騒がしくない。

そのギャップこそが、この作品の一番の魅力なんじゃないかと思います。

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漫画『いつもポケットにショパン』まとめ

というわけで、漫画『いつもポケットにショパン』を紹介してきました。

よかったらぜひこの機会に読んでみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)