映画『JOKER』 絶望感が他者攻撃に転じるのはどんな時か

映画

2019年公開時も話題になり、つい先日起きた京王線での刺傷事件により再注目されている映画『JOKER』。

個人的には本作品と例の事件とを結びつけるのは違うんじゃないかと思っていますが、

改めて本映画のことを思い出させられたということもあって、あえてこのタイミングで本作について触れておきたいと思い、この記事を書いています。

なお、本記事は犯人像について考察したり、事件の被害に遭われた方をネタにするといった意図で書いているものではありませんこと、先に記しておきます。

『JOKER』概要

「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を映画化した作品として知られている『JOKER』は2019年公開のアメリカの映画です。

映画のあらすじは以下の通り。

大都会の片隅で、体の弱い母と2人でつつましく暮らしている心優しいアーサー・フレック。コメディアンとしての成功を夢みながら、ピエロのメイクで大道芸人をして日銭を稼ぐ彼だったが、行政の支援を打ち切られたり、メンタルの病が原因でたびたびトラブルを招いてしまうなど、どん底の生活から抜け出せずに辛い日々を送っていた。そんな中、同じアパートに住むシングルマザーのソフィーに心惹かれていくアーサーだったが…。
引用元:映画 ジョーカー(2019)について 映画データベース – all cinema

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『JOKER』のレビュー・感想

バットマンに関しては映画など作品を観たことがなく、ジョーカーがどのような役として登場するのかを全く知らずに今回この作品を観ました。

ジョーカー以外の登場人物にほぼフォーカスしないからこそ、どこまでが現実でどこからが彼の妄想なのか、観る側の解釈に委ねられる作品(作り手側もあえて明かす気はないとしている)で、

そういった解釈の余地が残される作品よりもスッキリわかりやすいエンディングを求める人にはある種不向きな作品とも言えるかもしれません。

ところで本作はよく「無敵の人」というワードとともに語られることが多いように思います。

「無敵の人」というのはネットスラングなのですが、他者とのコミュニケーションなどの社会的な繋がりがなく、家庭環境や失職などの挫折等に起因した価値観の崩壊・劣等感の誇大妄想等などの条件が重なり、

「もう自分には失うものは何もない」

と自暴自棄になったり、極端な成功者への恨みや社会への復讐感情を抱き、時にはそれを犯罪行為という形で実行に移してしまう人に対してよく使われる、と考えて良いでしょう。

そう考えると、貧乏な中でも親の介護と自身の病気とを抱えながら仕事をしつつ夢を追って生きてきた中で、

その仕事を失い、薬ももらえなくなり、母親との血のつながりがないことを知り、恋人は妄想……

と社会とのつながりを次々と断たれ、何も持たざる者となってしまったジョーカーはある意味わかりやすく「無敵の人」を描いているといってもいいのかもしれません。

何も失うものがない、と感じた人が時に無差別に他者を攻撃する姿というのは、最近の日本でも見られます。

つい先日起きた京王線での刺傷事件でも、犯人は本作のジョーカーに憧れを抱き、その服装を模していたと証言しているようですしね。

そしてこうした「無敵の人」の起こした犯罪が取り沙汰される度、ではこのような無敵な人を生み出さないためには何が必要か、ということが語られることも多いように思います。

自助と自己責任論を振りかざさず、社会とのつながりを断たれた孤独な人を生まないこと、貧困層から抜け出しやすい社会を作ること。

よく言われるのが、上記のような解決策ではないでしょうか。

でも、社会とのつながりも薄く孤独な人で、失職などの挫折を味わったドン底状態にいる人が全員他者(特定の第三者であれ無差別であれ)攻撃に転じるかといえばそうではないでしょうから、

そのトリガーはどこにあるのだろうと考えてみることも必要なんじゃないかなと思う次第です。

そのように感じるのは、病気や失職といった経験がありながらもジョーカーのようにはならなかった自分は、では何があったから踏みとどまれたのか、ということをどこかで考えながらこの映画を観ていたからかもしれません。

孤立させない・ドン底から這い上がる術を残すといった施策がセーフティネットとしてある程度は機能してくれるであろうとして、

では孤立させないというのはどういうことをすれば良いのか、ドン底から這い上がるための術を残すとはどういう方面からのアプローチが必要なのか、

自分が、周りの人が、関係ない第三者が「無敵の人化」しない・させないために、考え続けないといけないのかな、と、そんな風に感じた映画でもありました。

最後に、個人的には、共感しやすい人、特にジョーカーと似たような境遇にある人にはあまりオススメしない映画ではあります。

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『JOKER』まとめ

というわけで、『JOKER』を紹介してきました。

ちなみに『JOKER』ですが、Amazonプライム会員はプライム・ビデオで鑑賞することができます。

よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)

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