映画『さよなら渓谷』 簡単には言葉にできない感情について

映画

何かを語りすぎない映画ほど、観る前の静かな時間がよく似合う気がします。

映画『さよなら渓谷』も、そんな一本です。

タイトルと佇まいだけで、どこか胸の奥に引っかかるものを残しながら、こちらを待っている作品。

ここからは、この映画を実際に観て感じたことを、少しずつ綴っていこうと思います。

映画『さよなら渓谷』概要

映画『さよなら渓谷』は吉田修一さんの同名小説を原作として2013年に公開された日本の映画です。R15+指定。

あらすじは以下の通り。

緑豊かな渓谷で幼児殺害事件が起こり、容疑者として実母の立花里美が逮捕される。しかし、里美の隣家に住まう尾崎俊介の内縁の妻かなこが、俊介と里美が不倫関係にあったことを証言。現場で取材を続けていた週刊誌記者の渡辺は、俊介とかなこの間に15年前に起こったある事件が影を落としていることを知り、2人の隠された秘密に迫っていく。
引用元:さよなら渓谷:作品情報・キャスト・あらすじ|映画.com

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映画『さよなら渓谷』のレビュー・感想

『さよなら渓谷』は、観ているあいだずっと、胸の奥に小さく重たい石を抱えさせられるような作品です。

派手な展開や感情を煽る演出があるわけではないのに、静かな画面の一つひとつがやけに刺さってくる。

その違和感こそが、この映画のいちばんの強さだと思います。

物語はとても抑制されています。登場人物たちは多くを語らず、感情を表に出すこともほとんどありません。

それなのに、視線や間の取り方、沈黙の長さから、言葉にならない過去や後悔、諦めの気配が滲み出てきます。

観る側は説明されないまま、その空気を受け取るしかなく、気づけば登場人物と同じ場所に立たされている感覚になります。

印象的なのは、「被害者」「加害者」という単純な枠組みを、安易に提示しない点です。

どこかで答えを与えてくれるだろうと思って観ていると、最後まで肩透かしを食らうかもしれません。

でもそれは不親切なのではなく、現実に近いからこそ。人の人生や関係性は、白か黒かで割り切れるものではない、という事実を、淡々と突きつけてきます。

また、渓谷という舞台も象徴的です。美しく、静かで、どこか閉ざされた場所。その景色は癒しであると同時に、過去から逃げられない感覚も強めています。

自然の中に身を置いているはずなのに、息苦しさが消えない。その矛盾が、この作品全体のトーンとぴったり重なります。

正直、観終わってすぐに「良かった」と言えるタイプの映画ではありません。

むしろ、どう受け止めればいいのか分からず、しばらく黙り込んでしまう人も多いはずです。

でも時間が経つほどに、ふとした瞬間に思い返してしまう。登場人物の選択や沈黙が、あとからじわじわ効いてくる。

軽い気持ちで楽しむ映画ではないけれど、人の弱さや、赦しの形について考えたいときには、強く心に残る一本です。

観る側の年齢や経験によって、感じ方が変わる映画でもあるので、もし再観する機会があれば、そのときの自分が何を感じるのかも、確かめてみたくなります。

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映画『さよなら渓谷』まとめ

というわけで、映画『さよなら渓谷』を紹介してきました。

ちなみに映画『さよなら渓谷』ですが、Amazonプライム会員はプライム・ビデオで鑑賞することができます。

よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)