映画『春の雪』 文豪の名作が美しい映像とともに楽しめる

映画

長く愛される文学作品が、それがいつの時代に発表されたものであれ、国を問わず、演劇やドラマや映画など、様々に形を変えて私たちの目の前に姿を表すことがあります。

それだけ時代を超えてもその文学作品を優れているもので、愛されているということですね。

そんな日本にも数ある文学作品の中で映画になったもののうち、今回は三島由紀夫氏原作の『春の雪』について紹介していきたいと思います。

その映像美は目を見張るものがありますので、機会があったらぜひ皆様の目でご覧いただきたいです。

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映画『春の雪』概要

『春の雪』基本情報

『春の雪』は2005年に公開された日本の映画。
三島由紀夫氏の小説で全4巻からなる『豊饒の海』シリーズの第1巻『春の雪』が本作の原作となっています。

監督は行定勲氏。

本作以外だと窪塚洋介さん主演の映画『GO』や、大沢たかおさん・柴咲コウさん・長澤まさみさん・森山未來さんが出演されていた映画版『世界の中心で、愛をさけぶ』などの代表作を手掛けられた監督ですね。

大正初期の時代の悲恋を描く本作では公爵家の一人息子・松枝清顕(まつがえきよあき)を妻夫木聡さんが、彼の幼なじみであり伯爵家の一人娘である綾倉聡子(あやくらさとこ)を竹内結子さんがそれぞれ演じられています。

なお、映画『春の雪』のあらすじは以下の通りです。

永遠を約束されたはずのふたりに、その悲劇は静かに訪れる…

幼なじみのふたり、侯爵家の子息・松枝清顕(妻夫木聡)と伯爵家の令嬢・綾倉聡子(竹内結子)。いつからか聡子は、清顕を恋い慕うようになっていた。清顕は聡子の想いに気づきながらも、不器用な愛情表現でしか想いを伝えられないでいた。

冬のある朝、ふたりは馬車での雪見に出かけた。静かに舞い落ちる雪の下で、初めて素直に向き合えた清顕と聡子は、どちらからともなく自然にくちづけをかわした。 それは永遠とも思えるような美しい時間だった。

そのころ綾倉家では、宮家の王子・洞院宮治典王と聡子の縁談が進められていた。 没落寸前の綾倉家にとって、宮家との縁談は家名復興のまたとない機会である。

清顕の気持ちを必死に確かめようとする聡子だったが、あるすれ違いが理由で連絡も絶ち突き放したような態度をとる清顕。失望した聡子は、ついにこの縁談を受けてしまう。

ほどなく聡子の結婚が決まった。宮家との婚約は決して取り消すことができないものだ。聡子がもはや自分のものにはならないことを知ったとき、清顕は、はじめて彼女への愛の深さを自覚した。聡子への想いが堰を切ったように溢れてくる。ただ聡子の愛を取り戻したいと願う。

一度は清顕への想いをあきらめた聡子も、次第に彼の愛を受け入れ、ふたりは激しく愛し合う。しかし、それは許されぬ”禁断の愛”。ふたりは人目を忍んで密会を重ねることでしか、幸福な時間を共有できないのだった。

そして、清顕と聡子にとっての悲劇の幕開けともいえる、”ある事件”が迫っていた…

僕たちは、またいつか一緒になれる…
引用元:春の雪 – 映画・映像 | 東宝WEB SITE

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『春の雪』のレビュー・感想

原作の『春の雪』ならびに『豊饒の海』シリーズについて

映画の感想・レビューに入る前に、まずは原作について。

『春の雪』を第1巻とした全4巻で構成されている『豊饒の海』シリーズは、三島由紀夫氏にとって最後の長編小説となりました。

というのも、最終巻の入稿日に三島由紀夫氏が、憲法改正のために自衛隊のクーデターを呼びかけ、直後に割腹自殺をするという「三島事件」が起きてしまったからです。

ちなみに本作は『浜松中納言物語』という平安時代後期の物語をよりどころとしているため、夢のお告げや輪廻転生が根幹にある小説でもあります。

というのも、第1巻『春の雪』において若干20歳にして亡くなってしまう松枝清顕が第2巻以降の各巻で転生した姿で登場するのですが、

そんな松枝清顕の親友だった本田繁邦(ほんだしげくに)もまた登場し、彼の転生後の人物の送る人生に(その全てではないものの)居合わせる、というのが全4巻に渡るキーポイントとなってくるからです。

ちなみに私自身は第1巻の『春の雪』しかまだ読めていません。

というのもそもそも原作を手に取ったのが、この映画の制作が決まり、どうやら竹内結子さんが出演されるらしいぞ、という情報を入手したから、という理由だったので、

『春の雪』が含まれている『豊饒の海』シリーズ全体については、当時さほど興味がなかった(失礼)からなんですね。

とはいえ、夢や転生といったテーマはわりと好きなので、機会を見つけて残りの巻を読み進めていきたいな、とは思っています。

映画『春の雪』について

とにかく!!竹内結子様が美しいから!!みんな観て!!

という個人的には1番大切な主張はさておいて。
(数多いらっしゃる女優さんの中でもトップクラスに美しいと思っている方なんですよね)

とにかく、風景にしろお衣装にしろカメラアングルにしろ、映像の美しさへのこだわりが余すことなく感じられるのが本作のオススメポイントのひとつではあります。

あ、別にストーリーに褒めるところがないとかそういったことではないですよ。

ただ、天皇・皇后両陛下を始め、宮家の皆々様以外はどんな立場だってオール庶民!

勅令もなく、結婚も家同士のもの、もわからなくはないけれど、やっぱり両性の合意で成り立つもの、という認識・価値観が広く一般的に広まりつつある現代において、

この物語が悲恋として成り立ち得る時代背景などにピンと来るか否か、というのは本作を楽しむにあたってのひとつの分かれ目になるのかな、とも感じます。

まぁ、清顕がいつまでもツンケンしてないで適切なタイミングでデレてさえいれば、

もっとすんなり2人は結ばれて、もっといえば20歳という若さで死なずに済んだかもしれないのにね、と思わないでもないですが。

あまりに彼は、美しいものと自分が美しくあること(外見だけではなく内面も)を重視するあまり、そのペースを唯一見出してくる聡子に、対して、素直になれなかったのはしょうがないことだったのかもしれません。

原作では丁寧に描かれていたこうしたひとつひとつのエピソードが、映画という尺の都合もあってかカットされている部分も多いので、

原作未読の方にとっては、清顕のそんな姿は幼稚・我がまま・身勝手なように映ったかもしれませんが。
(その点は少々残念なポイントではある)

最後に、宮家の殿下にミッチー王子を配したのは正解中の正解だったと思います。

また、本映画の主題歌・宇多田ヒカルさんの『Be My Last』も最高です。こちらも合わせてぜひ聴いていただきたい。

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映画『春の雪』まとめ

というわけで、映画『春の雪』を紹介してきました。

もし、少しでも面白そうだと思っていただけてら、ぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)