ホラー映画と聞くと、身構えてしまう人も多いかもしれません。
けれど中には、「怖い」というよりもどこか独特の空気をまとった作品もあります。
完成度とはまた別の意味で、じわじわと印象に残るタイプの映画です。
今回これから紹介するのは、映画『死国』。
時代の空気をそのまま閉じ込めたような一本で、いま観るとまた違った味わいがあります。
ここからはこの作品が放つ雰囲気や、観終わったあとに感じたことを中心に、ゆっくり振り返っていこうと思います。怖さだけでは語れない、その“独特さ”について。
映画『死国』概要
映画『死国』は坂東眞砂子さんの同名小説を原作として、1999年に公開された日本の映画です。
あらすじは以下の通り。
10数年ぶりに故郷である高知県・矢狗村に帰省した明神比奈子は、小学生の頃に親友だった日浦莎代里が事故死していたことを知った。だが莎代里の母親・照子は、莎代里がじきに戻ると告げる。やがて比奈子は、四国にまつわる秘密を目の当たりにする…。
引用元:死国 – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信|Filmarks
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映画『死国』のレビュー・感想
『死国』は、ホラー映画として公開されているはずなのに、どこか“B級”の香りが漂ってしまう不思議な一本でした。
怖がらせようとしているのは伝わってくるのに、なぜか緊張よりも「味わい」を感じてしまう。
そのズレが、この作品のいちばんの特徴かもしれません。
まず、舞台設定や題材はとても魅力的なんです。土着的な風習や因習めいた空気感、閉ざされた土地の記憶。王道ジャパニーズホラーの要素はしっかり揃っているのに、いざ画面に映ると、どこか演出の温度が噛み合わない瞬間がある。
怖い場面のはずなのに、「あ、今びっくりさせにきたな」とわかってしまう。
そういう意味での“素直さ”が、結果的にB級感を生んでいるように思いました。
特に印象的なのは、全体に漂う90年代後半特有の空気です。少し湿った画面、どこか説明的なセリフ回し、そして真面目にやっているのに、ほんの少しだけチープに見えてしまう特殊効果。
今の洗練されたホラーと比べると粗さは否めません。でもその粗さが、逆に時代の味として面白くもあるんですよね。
とはいえ、完全に笑い飛ばせるタイプの作品かというと、そうでもない。真剣に撮っていることは伝わるし、キャストも本気です。
だからこそ、「惜しい」という感覚がつきまとう。
もう一歩踏み込めば本格ホラーになれたかもしれないのに、なぜか一歩手前で止まっている。
その“未完成感”こそが、この映画をB級的な位置に置いている理由なのだと思います。
でも、ホラーとして完璧でないからこそ、気軽に観られるという側面もあります。
ガチで怖い映画を観る覚悟がない夜でも、『死国』ならどこか安心して観られる。怖がりながらもツッコミを入れたくなる、その距離感が絶妙です。
今あらためて観ると、「これぞ90年代ジャパニーズホラーの一断面」という資料的な面白さも感じられます。洗練よりも雰囲気重視、完成度よりも情念重視。
そういう時代の空気がパッケージされた一本。ホラーとして評価するより、「ちょっと味のあるB級ホラー」として楽しむのが、いちばんしっくりくる作品でした。
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映画『死国』まとめ
というわけで、映画『死国』を紹介してきました。
ちなみに映画『死国』ですが、Amazonプライム会員はレンタルですがプライム・ビデオで鑑賞することができます。
よかったらぜひこの機会に観てみてください。
この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)


