映画『黄泉がえり』 主題歌とともに残る余韻

映画

「泣ける映画」とひとことで括られがちだけれど、それだけでは収まりきらない作品ってありますよね。

公開当時の空気感や、主題歌と一緒に思い出される記憶も含めて、どこか特別な存在として残っている映画。

久しぶりに名前を目にして、「そういえば…」と立ち止まってしまう人も多いんじゃないでしょうか。

今回はそんな映画『黄泉がえり』について紹介していきたいと思います。

映画『黄泉がえり』概要

映画『黄泉がえり』は梶尾真治氏の同名原作小説をもとに2003年に公開された日本の映画です。

あらすじは以下のとおり。

九州阿蘇のとある地域。ここで少し前から驚くべき現象が頻発していた。死んだ者が、死後も自分のことを想い続けてくれた人の前に、ある日突然現われるのだ。それは、ゾンビや幽霊などではなく死んだ当時のままの姿で蘇るのである。最愛の人との再会に喜ぶ家族や恋人の一方で困惑する周囲の人々。厚生労働省勤務の川田平太は故郷で起った謎の現象を解明するため現地に赴く。そこで、川田は死んだ親友のフィアンセだった橘葵と再会する。葵もまた恋人の黄泉がえりを待ちわびていた。そんなある日、川田は<黄泉がえり>にある法則を見出すのだったが…。
映画『黄泉がえり』(2003) | allcinema

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映画『黄泉がえり』のレビュー・感想

『黄泉がえり』はファンタジーやSFという枠に入れられるところもあると思いますが、実際に観てみるととても“人間くさい”映画だな、という印象が強く残る作品です。

派手な演出よりも、「大切な人がもう一度目の前に現れたら、あなたはどうする?」という、かなり直球な問いを静かに投げかけてきます。

物語の舞台は地方都市で、ある日を境に、亡くなったはずの人々が次々と戻ってくるという不思議な出来事が起こるんですが、

設定だけ聞くと少しホラー寄りにも思えるけれど、実際のトーンは驚くほど穏やかで、怖がらせる方向にはほとんど進まないのが印象的でした。

むしろ焦点が当たるのは、残された側の感情なんですよね。

喜び、戸惑い、罪悪感、そして「もう一度失うかもしれない」という恐れ。

再会が必ずしも幸福だけをもたらさないところが、この映画のいちばん切ない部分だと思います。

奇跡が起きたからといって、すべてが元通りになるわけじゃない、という現実を、とても丁寧に描いています。

主演の草彅剛さんは、感情を大きく爆発させるタイプの役ではないけれど、だからこそ「普通の人が異常な出来事に巻き込まれている」感じがよく出ているなぁと感じました。

彼の淡々とした佇まいが、物語全体の落ち着いた空気を支えているように感じます。

また、この映画を語るうえで外せないのが、主題歌の存在。

物語と強く結びついていて、エンディングで流れるあの曲が流れ出すと、それまで抑えていた感情が一気に込み上げてくる人も多いはずです。

映画を観終わったあと、しばらく余韻から抜け出せなかった、という人も少なくないのではないでしょうか。

『黄泉がえり』は、「死んだ人が戻ってくる話」という非現実的な設定を使いながら、実際には生きている人間がどう前を向くのか、どう別れを受け入れるのかを描いた作品だと思います。

泣かせに来る映画ではあるけれど、決して感情を押しつけてくるわけではなく、観る側に考える余地を残してくれるのが好印象でした。

大切な人を思い出したいとき、少し立ち止まって感情を整理したいときに、そっと寄り添ってくれるような一本。

派手さはないけれど、長く心に残る映画だと思います。

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映画『黄泉がえり』まとめ

というわけで、映画『黄泉がえり』を紹介してきました。

ちなみに映画『黄泉がえり』ですが、Amazonプライム会員はプライム・ビデオで鑑賞することができます。

よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)