昨今すっかり読書から遠のいていたこともあって、今年のやりたいことリストの中に
「月に1冊以上本を読む」
という項目を設けているのですが、新しい本を手にする前に何か積読しているものはなかったかな、と探していた中で、
ずいぶん前から気になっていたのに読めていなかった1冊を見つけたので、1月の本として『ケーキの切れない非行少年たち』を読んでみました。
と言うわけで今回はこちらの本のご紹介です。
『ケーキの切れない非行少年たち』概要
『ケーキの切れない非行少年たち』は、児童精神科医である著者・宮口幸治氏が医療少年院と呼ばれる矯正施設に勤務していた経験などに基づいて書き、新潮社から発行された書籍です。
本書の概要は以下の通り。
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
引用元:宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』 | 新潮社
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『ケーキの切れない非行少年たち』のレビュー・感想
率直に言うと、この本は専門家(当該分野を研究している人ならびに実際に非行少年たちの更正に関わる機関の人)と非専門家の一般読者のどちらに向けて書かれたものなのだろう、と読後首を捻ってしまった。
専門家に向けて、だったのだとしたらこの本は著者の(もちろん非行少年たちの更生を担う現場にいた経験を踏まえてはいますが)考察・推察・感想などが目立ち、それを裏付ける統計的なデータの提示が少なかったような気がしますし、
一般読者に向けて、だったのだとしたら、やや専門用語が多く、読みづらいと感じる人も多いだろうなという印象を受けたからです。
もしかしたら一般読者の方が読むなら、コミカライズ版の方がまだわかりやすいかもしれません(私は手にしていないのですが)。
ただ、もし彼が提唱している内容が本当に非行少年たち、ひいては成人の犯罪者の方の更生に対して効果を発揮するものであるなら、
ぜひ取り入れてもらいたいところなので、関係各所を動かせるよう著者には頑張っていただきたいと思うところではあります。
非専門家の一般読者としては、やはり人間、自分の経験や見聞に基づいて価値観や「常識」などを自分の中に作り上げてしまい、そのフィルターを通してまた世の中を見てしまうところがあると思うので、
そこに対して新たな世界、可能性という一石を投じる入門書、という意味では、専門用語が少し多いけれど面白い本なんじゃないかと思います。
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『ケーキの切れない非行少年たち』まとめ
というわけで、『ケーキの切れない非行少年たち』を紹介してきました。
よかったらぜひこの機会に読んでみてください。
コミカライズ版もあわせてどうぞ。
この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)