アメリカの航空機製造大手・ロッキード社の全日空(ANA)への航空機の売り込みに絡んだ贈収賄事件で1976年に田中角栄元首相が逮捕された、いわゆる「ロッキード事件」。
その事件に際して、裏金の鍵を握るとされ、「昭和の政商」とも呼ばれた国際興業創業者の小佐野賢治氏が多くの質問に「記憶にございません」を連発し、
同年の流行語にもなったことをご存知の人はどれだけいるでしょうか。
最近では幹部への接待問題で、総務省の担当課長による「記憶にございません」の連発劇が繰り広げられるなど、
偽証・証言拒否を避けつつ回答に向き合わない戦法として、国会答弁の決まり文句ともいえる言葉になってしまっているきらいもあるように思います。
そんな「記憶にございません」という言葉をタイトルとした映画が、実は三谷幸喜監督によって作られ、2019年に公開されています。
今回はそんな映画『記憶にございません!』について紹介していきたいと思います。
『記憶にございません!』概要
『記憶にございません!』は2019年に公開された日本の映画です。監督・脚本は三谷幸喜さん、主演は中井貴一さん。
以下のあらすじの詳細は、東宝WEB SITEから引用させていただきました。
病院のベッドで目が覚めた男。一切の記憶がない。
ふと見たテレビのニュースに自分が映っていた。演説中に投石を受け、病院に運ばれている首相。
そう、なんと、自分はこの国の最高権力者で、石を投げつけられるほどに……すさまじく国民に嫌われている!!!
「あなたは、第百二十七代内閣総理大臣。国民からは、史上最悪のダメ総理と呼ばれています。
総理の記憶喪失は、トップシークレット、我々だけの秘密です」
真実を知るのは、秘書官3名のみ。
政策はもちろん、大臣の顔と名前、国会議事堂の本会議場の場所、自分の息子の名前すら分からない。
記憶にない件でタブロイド紙のフリーライターにゆすられ、記憶にない愛人にホテルで迫られる。
どうやら妻も不倫をしているようだし、息子は非行に走っている気配。
そしてよりによってこんな時に、米国大統領が来訪!
他国首脳、政界のライバル、官邸スタッフ、マスコミ、家族、国民を巻き込んで、
記憶を失った男が捨て身で自らの夢と理想を取り戻す! 果たしてその先に待っていたものとは……!?
記憶にございません! – 映画・映像 | 東宝WEB SITE
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『記憶にございません!』のレビュー・感想
テンポのいいギャグコメディとして十分に楽しめる、ザ・三谷ワールドと言えるような作品だなぁ、というのが初手で抱いた感想。
特にこのコロナ禍において、本当に三権分立の一端を担っている機関なのか?ギャグでやっているのか?というニュースも多く目にする「内閣」の、総理大臣を三谷さんらしく風刺している作品なのかな、と思わなくもないのですが(公開はコロナ禍の前だけど)、
意外と「総理なんて誰がやっても同じ(記憶を無くそうとも)」という方面での皮肉はあまり感じなくて、
中井貴一さんが演じる記憶を無くした総理が真面目に政治を一から勉強する姿が描かれていたりします。
あるいは、小中学生の公民に分類される内容を一から勉強しなおした方がいいんじゃない?という点は現実の政治に対する皮肉と言えるのかもしれませんが。
そんな意味では、フィクションだからこそ笑って観られる作品でありながら、記憶喪失にはならなくてもいいけど、
実際の総理もこれくらい謙虚に勉強して欲しいな、なんて、ちょっとそんなことも思ってしまう内容とも言えるかもしれません。
あと、草刈正雄さんが演じる鶴丸官房長官にどことなく、現在の与党の幹事長を感じさせる部分があると個人的には思いました。
官房長官は務めていないし、鶴丸官房長官のように国民人気は高くなさそうだけど、影響力的な意味でね(笑)
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『記憶にございません!』まとめ
というわけで、『記憶にございません!』を紹介してきました。
ちなみに『記憶にございません!』ですが、Amazonプライム会員はプライム・ビデオで鑑賞することができます。
よかったらぜひこの機会に観てみてください。
この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)