夏といえばホラーや怪談、心霊など、暑い日々にヒヤッとした感覚を味わうことのできる作品などを手にしたくなる、という人は一定数いるんじゃないでしょうか。
あるいは、この時期になると毎年見返したくなる、と感じる思い出の作品がある人もいるかもしれませんね。
私にとっては夏のホラー作品といえば、と毎年今の時期になると思い出す小説がありまして、
今回はその思い出の作品、壁井ユカコさんの『サマーサイダー』を紹介していきたいと思います。
『サマーサイダー』概要
『サマーサイダー』は2011年に発行された壁井ユカコ氏による日本の小説です。
公式ページによる作品紹介は以下の通りです。
幼馴染のミズ、誉、悠は廃校になった中学の最後の卒業生。揺らぐ三角関係の中心には、去年の夏休みに変死体で発見された担任教師をめぐる秘密があった。夏が再び訪れ、廃校舎に隠した罪の記憶が三人を追いつめてゆく……。ほの暗い恐怖を漂わせながら、少年少女の関係を瑞々しい感覚で描く。泣きたくなるように切なくて、予測不能に怖い。心がざわつく傑作青春ホラー小説!【扉イラスト・市川春子】
引用元:サマーサイダー|出版書誌データベース
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『サマーサイダー』のレビュー・感想
本作の著者・壁井ユカコさんの他の作品についてはこれまで『キーリ』や『No Call No Life』などを紹介してきています。
『キーリ』や『五龍世界』などは完全ファンタジーだったのと、『2.43 清陰高校男子バレー部』は逆にファンタジー要素一切なしの青春スポーツ(部活)小説なのでひとまず置いておくとして、
10代の思春期真っ只中の少年少女の不器用さや息苦しさを描き、そして日常と非日常(ファンタジー)とが絶妙なバランスで配合された世界観の作品が多い、という印象の作家さん。
本作『サマーサイダー』も例に漏れずそんな特徴を持つ小説であります。
つまるところ物語の前半戦ではミズ、誉、悠の青春小説的な感じで進んでいくわけです。
しかし、あらすじにもある通り、そこに変死体で見つかってしまった彼らの元担任の死の真相についての種明かしが後半戦で怒涛のように語られていく。
それがミステリー的でもあり、同時にホラー要素も満載。
なるべくネタバレにならない範囲で言っておくと、虫が苦手な方は本当に読まないことをオススメします。トラウマになるレベルでこれのせいでホラー要素が増し増しになります。
特にこの季節外で鳴いているあの虫・蝉の声を聞くたび思い出す小説になるかもしれません。
現に私にとってはそうだからです。
青春物語なら青春物語、ホラーならホラーとして楽しみたいという方には合うかどうかというところもありますが、個人的にはどちらの要素も楽しめる小説だと思います。
夏が来れば思い出す、そんな、私にとってはこれからも忘れられそうにないお話が、この記事を読んでくださったあなたにとってもそうなってほしいですね。
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『サマーサイダー』まとめ
というわけで、『サマーサイダー』を紹介してきました。
よかったらぜひこの機会に読んでみてください。
この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)