お得な選挙(センキョ)割を受けるための投票済証明書って何?

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近年、「投票済証明書」という、選挙での投票を済ませた後に投票所でもらえる証明書を提示することで、

飲食店や本屋さん、映画館などで割引を受けられる「選挙割」「センキョ割」といわれるサービスが普及してきています。

センキョ割 / 選挙割 | センキョ割とは、投票したらサービスで、地域活性と社会参加のきっかけをつくる国民的行事

2022年07月10日投開票日の参院選における各地域の主な「選挙割」「センキョ割」サービスをまとめたページを確認されたい方は以下も合わせてどうぞ。

センキョ割 参加店舗紹介サイト
センキョ割学生実施委員会が運営する「センキョ割」の参加店舗紹介サイトです。

特に20代・30代の低いと言われている投票率を上げるきっかけのひとつとなるなら、面白い施策ではありますよね。

ただ、一方で「投票済証明書」というものは交付が義務付けられているものではないため、

ご自身が投票される自治体での交付の状況、また利用したいサービスを実施している店舗で「投票済証明書」以外にも提示すればサービスが受けられる代わりのものがあるかどうか、よく調べる必要がありそうです。

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投票済証明書の背景と賛否について

法的な拘束力はない投票済証明書の発行

選挙割以外にも、土日に決まった休みではない業種など、就業時間内に投票にいく従業員が職場などで提出を求められることのある「投票済証明書」。

先程「投票済証明書」は交付が義務付けられているものではない、と書きましたが、

これは、「投票を行なったことを証明する書類を発行すること」を義務付けるような法律が存在しないことが理由となっています。

そのために、「投票済証明書」を発行するかしないかは、各自治体の選挙管理委員会が判断しているのです。

また、「投票したことを証明する書類」の名前も統一はされておらず、前述の「投票済証明書」以外にも、「投票証明書」「投票済証」といった名前が使われることもあったり、

用紙のサイズや様式なども統一されていないため、各自治体によってバラつきがあります。

投票済証明書を発行しない自治体の理由

職場への提出や選挙割など、必要・利用したいというニーズも広がりつつある昨今、ではありますが、

一方で、こうした投票済であることを証明する書類を現状では発行しないことを決めている自治体もあります。

これは、基本的には以下の日本国憲法第15条を内容を考えてのものではないかと思います。

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
○3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
○4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

引用元:電子政府の総合窓口 e-GOV

特に第15条の4項部分から
「投票する・しない、また投票した際の内容については個人の自由意思・秘匿性が尊重されるべき」
という意見が、投票済証明書の発行と利用に関して反対している方々の意見として見られます。

企業・団体・政党などの利益に利用されてしまったりといった投票済証明書をめぐるリスクとそれを防ぎたいという思いは、投票済証明書を発行していない佐賀市の選挙管理委員会の以下の意見が参考になるでしょう。

佐賀市選管もホームページで「ある政党が、投票に行ったことを確認するため玄関口に貼らせたり、労働組合が組合員の投票を確認する手段に証明書を回収している事例などが見られる」と記載し、「市民の生活に不利益を与えない」などとして発行していない。
引用元:投票済み証明書もらいました?交付に地域差、組織利用も

投票に行こう!と呼びかける活動自体は悪いことではありませんが、悪用するケースできちんと処罰ができていない以上は慎重にならざるをえない部分もあるのかもしれません。

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まとめ

私自身はもともと
「権利を主張するならやることやるべき」
という実家での教えもあり、

まぁ文句をいうならまず投票に行っておくことが大事だよね、という考えのもと選挙には欠かさず行っています。

とはいえ、この考えは他の人に押し付けていいものではないですし、

自身の世代以下の人たちに住みよい政策を行なってもらうためには投票率アップが必要であり、

そのための啓蒙活動として「選挙(センキョ)割」といった施策が行われることはいいことなんじゃないかな、とも思っています。

ただ一方で、自身の選挙への参加・投票した内容に関しての自由意思や秘匿性を脅かしかねない背景があることは考慮しなければならないかな、と今回のことを調べていて改めて考えさせられました。

選挙の啓蒙+選挙割を行うことによって消費が活性化するかも、といったメリットを殺さないような、代替案が出てくるといいのかもしれないですね。

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この記事を書いた人:藤代あかり(@akarifujishiro)