#NoBagForMe プロジェクトについて感じたこと、考えたこと

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突然ですが、#NoBagForMe という取り組みについて、あなたはご存知でしょうか?

プロジェクト発足の趣旨については、ユニ・チャーム株式会社のホームページに記載されていた内容を抜粋します。

#NoBagForMe プロジェクトは、女性が活躍する社会の時代の変化にあわせ、生理に対するこれまでの価値観を周囲の環境含め変化させることを目指して発足しました。

女性が生理用品を購入する時に、紙袋で包む理由は、世の中の人々が生理という現象に対して心のどこかで、「恥ずかしい」や「隠したい」と感じていることに起因するのではないかと捉えています。

そこでソフィは、女性の体に自然に起こる生理について、「気兼ねなく語れる世の中であってほしい」との願いを込めて、意見や情報交換を行える世の中の空気感の醸成を行うために、まずは紙袋で生理用品を隠す必要性を感じさせない、新しいパッケージのデザインを開発します。
引用元:生理・生理用品について気兼ねなく話せる世の中の実現を願い
ソフィ『#NoBagForMe』プロジェクト始動

このプロジェクトは、個人的には

「生理用品のデザインを見直す」

という動きに関しては大賛成なのですが、

プロジェクトの趣旨に関して少し「ズレ」を感じているところがあって、パッケージデザイン案の投票には参加しつつも、静観していたところでした。

(投票期間は終了していますが、どんな案が出たのか確認したい!という方はこちらのページからどうぞ。
100案から3案へ絞り込み。その過程と、5人それぞれの思い』)

この「趣旨に関して感じるズレ」について、自分の中でもう少し温めようかとも思ったのですが、

ひとつにはいつも愛読させていただいているドクダミ淑子さんの以下の記事に触発されたこと。

ふたつ目には、こうして一度記事として自分の考えをまとめてみたほうが頭の中が整理されるのではないかと思ったこと。

以上2つの理由から、今回私が #NoBagForMe プロジェクトについて感じたこと、考えたことなどをまとめていきたいと思います。

こちらも合わせてどうぞ。

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確かに現行の生理用品のパッケージデザインには「隠したい」を感じさせる

まず、今回のプロジェクトの趣旨の中にもある「紙袋で生理用品を隠す必要性を感じさせない新しいパッケージのデザイン」の部分については、

今後ぜひとも大いに普及してほしいという思いはあります。

冒頭でも紹介しましたドクダミ淑子さんの言葉をお借りすると、以下の通り。

私は生理用品の「モレません!安心です!」「超絶怒涛の吸収力!なんなら宇宙レベルの吸収力!」「薄いのが自慢!」「脅威の30cm!!」と、やたらと主張する「THE★生理用品です」ってパッケージは好きではないし、生理用品をレジに持っていくときの何とも言えぬ気まずさはあまり見ていて楽しいものではないので、男性も女性も「生理」に気兼ねなく接することができるパッケージだったらと思いました。
引用元:声を挙げられる社会での「私の主張が通って当然」という間違い

個人的にはブランド間でそうそうつけ心地や機能の差異ってないんじゃないかと感じているのもあって、

店頭の該当のコーナーへ行った時見る情報って、長さと1枚当たりの単価くらいのものなのですが(笑)

まぁこのように特定の製品に対して愛着があるか否かはさておいて、現在の文字量・デザイン共にゴテゴテしすぎじゃない??というのは私も思っています。

正直生理用品を買う上で必要な情報って、紙ナプキンの場合ですと「1パックあたりの枚数」「長さ」「羽根つきか羽なしか」くらいなんじゃないですかね……

そして、普段はどんなに過剰包装が好きではなかったとしても、確かに現状のままのデザインでは紙袋へ入れるなり、黒いビニール袋に入れるなり、

「隠したい」

という思いが出てきてしまうのは致し方ないのかな、と。

欲をいえば、スーパーとかで他の食料品や日用品と同時買いした時に浮かないデザインではあってほしいなとも感じています。

というのも、私個人が買いに行く時に感じるなんとも言えない「恥ずかしさ」もそうなのですが、

生理が比較的重く、いつ何時必要な時にうっかり切らしてしまっているが買いに出られないという状況が発生してしまう可能性がゼロではない私にとっては、

できれば、もし自分のパートナーに急におつかいを頼むようなことになってしまった場合に、

あの独特なパッケージが陳列された空間にウッとならないようなデザインであってほしいという願いもあります。

まぁ、生理用品を買いに行かされる時点で嫌なものは嫌だと思いますが(笑)

ちなみに、じゃあどんなデザインならもう少し心理的な抵抗を減らせそうかと、今回のプロジェクトの案とは別になんとなく考えてみたところ、

パッと思い浮かんだのがリプトンイエローラベルのティーバッグのパッケージデザインでした。

色合いについては好みが分かれそうですが、紅茶であることと何パック入っているか、そして製品の特徴も、あまりくどく感じさせずに入っていて、

わりといい感じなんじゃないかなと感じるのですがどうですかね?

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#NoBagForMe プロジェクトに対して「ズレ」を感じる原因は何か

ここで改めて冒頭で紹介した、ユニ・チャーム株式会社のホームページに記載されていたプロジェクト発足の趣旨を振り返ってみたいと思います。

#NoBagForMe プロジェクトは、女性が活躍する社会の時代の変化にあわせ、生理に対するこれまでの価値観を周囲の環境含め変化させることを目指して発足しました。

女性が生理用品を購入する時に、紙袋で包む理由は、世の中の人々が生理という現象に対して心のどこかで、「恥ずかしい」や「隠したい」と感じていることに起因するのではないかと捉えています。

そこでソフィは、女性の体に自然に起こる生理について、「気兼ねなく語れる世の中であってほしい」との願いを込めて、意見や情報交換を行える世の中の空気感の醸成を行うために、まずは紙袋で生理用品を隠す必要性を感じさせない、新しいパッケージのデザインを開発します。
引用元:生理・生理用品について気兼ねなく話せる世の中の実現を願い
ソフィ『#NoBagForMe』プロジェクト始動

私がこれを読んでズレというか違和感を覚えたのは、「生理という現象」に恥ずかしい・隠したいという思いを抱えている、という書き方がされている、ということなんですね。

もちろんそうした向きもあるんだろうとは思います。

ですが実際のところは、「”自分”と”生理”が密接に結びついた状態」を、「自分が公開してもいいと思っている人以外の第三者につまびらかにする状況」に恥ずかしさや抵抗感を覚える人の方が多いのではないか?と思うんですよね。

ちなみにこの第三者とは人によって線引きは多少異なるかと思いますが、ごくごく近しい友人、旦那さんや恋人といったパートナー以外のほとんど全ての人が該当するだろうと思いますが、

とにかく、大半の女性には月に1回1週間程度の期間生理という現象が起き、その時はこんな状態で、こういった体調の変化が出る。

といった、生理一般の話はしやすい
(もちろん24時間365日いつでも喋れるというわけではなくTPOは考えるでしょうが)

けれど、自分が生理である時の状態、とか、現在自分は生理中で、とか、

そうした、自分と生理がセットの状態の話をするのは、生理一般の話をするよりも抵抗を感じる。

それは、自身のデリケート・プライベートな部分に当たるから。

だから、たとえ自意識過剰と思われようとも、生理用品を買っている自分、という、自分と生理が密につながった状態を公にしないために紙袋は欲しいと思う。

それに、生理に関する価値観や周囲の環境を変える必要があるとして、そのために、意見や情報交換など、気兼ねなく(自分の)生理について語る必要ってあるの?

といったような感じでしょうか。

会社の規定として「生理休暇」というものがあったとして、実際に生理中の体調の変化を理由に休んだのだとしても、「生理休暇」として申請しない人の方が多い理由って、同じような理由からだとも思うんですよね。

で、実はこのプロジェクト、ちょっとした(?)炎上騒ぎにも発展したのですが、その理由を辿った時に行き着く原因のひとつに、

本プロジェクトの趣旨にある「恥ずかしい」「隠したい」という根底の部分、そしてその解決のために何が必要か、という部分が「ズレている」ことにあるように思うのです。

まぁ現行のパッケージはあまりにアリアリと「生理!」を主張し過ぎているよね。

裸で持ち歩いても「自分と生理用品」が一目にはセットとして結びつきにくいパッケージを作ろうね。

それでも念には念を入れて紙袋に入れたいぜ!っていうのは大いにアリだと思うよ!

というニュアンスだったらまだよかったのかな、とは思います。

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ただし、理解や情報が必要な人に伝わるためにはある程度の情報の開示は必要である

にわかには信じがたい話かもしれませんが、そう遠くない過去、どころか現代においても、こういうニュースを目にしてしまう世の中。

生理中の女子生徒に体育の授業で無理をさせるとどんな影響が出るか。

産婦人科とはそもそも妊娠出産だけではなく、各種婦人科系の不調・病気などを診てもらう場所であること。

偏見や誤った知識を払拭し、婦人科であれば、本当に必要な人がきちんと専門家の元へ行けるような世の中になる。

上記の例は極端な話かもしれませんが、

いかんせん生理というものはその期間中に出る体調の変化が個人差によるものが大きいので、

異性間よりもむしろ同性間の方が、症状が軽い人と思い人の間で相互理解がしにくいといった話も少なからずあります。

「病気じゃないんだから」
「みんな耐えているんだから」

というのは、私自身何度も呪文のように唱えてきた言葉でもあります。

こうした、いわば精神論的なものでなんとかしようとして、本来受診すべき人が婦人科の門をくぐる行為から遠ざかることが少しでも減るように。

誤った知識によって、無理をして・させてしまった結果将来的に困らないように。

今回のプロジェクトの参加メンバーの1人である塩谷舞さんがご自身の子宮内膜症の体験について、Instagramに以下の投稿をされていましたが、

この投稿をInstagramで見る

生理痛くらいで休んでちゃいけない。‪みんな耐えてるんだから。‪⠀‬‬ ‪⠀‬ ずっとずっとそう思ってやってきました。会社員の頃、地獄が始まるみたいな激痛と真っ暗な気持ちで目覚めた朝は、薬が効くまでベッドでうずくまりながら「ごめんなさい、腹痛で遅れます……」と男性上司含め、会社メンバー全員にスマホで連絡。 ああ、サボってると思われるかもしれない……と自己嫌悪になる。でも痛いものは痛い、だけど生理痛なんて病院に行っても治るものでもないし、鎮痛剤を飲んで堪えるしかない。そう思ってました。‪⠀⠀‬ ‪⠀‬ でもこれまでに何度か、七転八倒するような痛さで救急車で運ばれることもありした。それでもお医者さんからも特別な診断をされる訳ではなく、「うーん、これも生理痛かなぁ?」「ストレスですかねぇ?」という感じ。だから私はずっと「みんな我慢できてる生理痛すら我慢できなくて情けない……」と思い続けていました。‪⠀‬ ‪⠀‬ そして昨年。また尋常ではない腹痛に襲われて入院。人生で初めて、登壇する講演会をドタキャン。悔しくて悲しくて泣いた。でもてっきり盲腸かと思っていたら「あれ、子宮内膜症かもしれませんね……」とお医者さんに言われた。‪⠀‬ ‪⠀‬ 子宮内膜症、なんとなく聞いたことはあっても、詳しくは知らなかった。でもこれは女性の10%が持っている病気でした。10人に1人!あまりにも多いのに、どうして知らなかったのか。思い返せば、思い当たるサインは十二分に出ていたのに、なんで「我慢すべき……」と鎮痛剤だけで耐えてきたのか。‪⠀‬ ‪⠀‬ ここ数年、何度も婦人科で検診は受けていたけど、それでもなかなか気付かなかった。けど、先日MRIを撮ったところ、本当にしっかりと、ピンポン球みたいにまるまると、私の腹痛の原因が写ってました。子宮内膜症でした。(レントゲンが歪んでるのは、斜めから画面を撮影したからです)‪⠀‬ ‪⠀‬ 「ただただ痛い」と「痛い原因が見えている」とでは、精神的なストレスがまるでちがう。だから、MRIの結果を見た瞬間に「はぁぁーーーやっと気づいてくれたの?」みたいな気持ちになって、なんというか、気づいてあげられずにごめんね、でももう大丈夫だよ……みたいな気持ちになって、少し安心した。‪⠀‬ ‪⠀‬ 子宮内膜症って、手術したとしてもまたじわじわ再発することが多いらしくて。多くの場合、閉経までずーっと、うまく付き合っていかなきゃいけない病気。そんな状況を前に、今までの働き方じゃまた倒れてしまうからと、仕事を減らして、やりたいことを研ぎ澄ませて、身体に負担をかけないようにしていきました。これは根本的な解決ではないけれど、すごく楽になったし、周囲の理解も得られて生きやすくなった。病名がわかってよかった。本当に。‪⠀‬ ‪⠀‬ どうしてこんなことを書いたかっていうと、病気の知識って、びっくりするくらい入ってこないんですよね……。けど、知人やフォローしてる方々が病気を発表すると、そのことを知るし、周囲にも「もしかして…?」と気にかけることが出来る。‪ @blast.jp のリナちゃんたちの取り組みや、 落合陽一さんの息子さんの治療の様子などで知る病気がある。病気を知ることで、自分も、大切な誰かの人生を守ることにもなると思った。‪⠀‬⠀‬ ‪⠀‬ だから、これを読んでる方で、生理痛が重すぎる方、激痛を家族やパートナーが訴えている方は、子宮内膜症の可能性があることを知って欲しいなと思いました。10人に1人もいるんだから、本当に特別なことじゃないんですよね。。‪⠀‬ ‪⠀‬ 詳しい症状はここでは書かないのですが、今は信頼ある医療情報を提供しているサイトが検索上位に出てくる世の中になってきているので。詳しくは調べてみてください。そして婦人科に行ってみてください。‪⠀‬ ‪⠀‬ 私は基本的には元気ですので、ご心配には及びません。ただ、いつまた激痛が来るかわからないから、イベントなど日程をずらせないお仕事は、自分の中のカレンダーと要相談になりました。 だからこそ、自分のペースで仕事が出来る今の時代には感謝しかない。noteを作ってくださったピースオブケイクの方々には頭が上がりません。‪⠀‬ ‪⠀‬ もちろん病名がつかなくても、生理痛というのは大変なものです。だから「(生理痛で)休みます!」「はいどうぞ!」とSlackで当たり前のように報告できる世の中があって欲しい。だって女性に生理があるから私たちは生まれる。人が生まれるから社会が出来る。女性の生理は女性だけのものじゃなくて、社会全体で労っていくもの。 ヘルシーに生きていきたいですね。‪⠀‬ ‪⠀‬ #子宮内膜症 #生理痛

Mai Shiotani 塩谷舞さん(@ciotan)がシェアした投稿 –

「正しく、必要な情報が必要な人に伝わる」

そのためには、困った時に相談できる場、意見交換をできる場も必要かもしれないけれど、

まずは誤った、都市伝説・デマのような情報の流布を訂正していくことが重要なんじゃないかと。

この点は分野は違えど、以前に『「遺体と火葬のほんとうの話』内容紹介・レビュー』という記事でも触れた、

遺体や火葬の話というのは表立って話すにはとても生々しくて、あまり語られることのないままでした。
ですが、私は「ウソではない、本当の情報を届けたい」。そんな思いから、YouTubeで「葬儀・葬式ch」という動画配信を始めました。
引用元:「遺体と火葬のほんとうの話」

という信念のもと、『葬儀・葬式ch』というYouTubeチャンネルを運営されている、1級葬祭ディレクターであり、有限会社佐藤葬祭という葬儀会社の3代目代表・佐藤信顕さんの活動が、

「女性が活躍する社会の時代の変化にあわせ、生理に対するこれまでの価値観を周囲の環境含め変化させることを目指し」ていくなら、理想的な一つの形なんじゃないかなぁと感じます。

[sponsered link]


#NoBagForMe プロジェクトについて感じたこと、考えたことまとめ

というわけでここまで長く書いてきてしまいましたが、ざっくりとまとめると、

  • 恥ずかしいや隠したいという思いは、「生理そのもの>生理と自分が密接に結びついた状態を広く公開すること」なんじゃないか
  • あくまで上記を緩和する手段の一つとして、生理用品のパッケージデザインの変更はアリ
  • 環境や価値観を変えるに当たって、気兼ねなく話せる場も必要かもしれないけれど、まずは「生理」という現象を正しい情報を広める活動の方が大事なのでは?

というのが主な内容でした。

最後の部分については、
「都市伝説・デマ的な情報が淘汰されれば、自ずと必要な人が情報・意見交換を行える場もできて・増えてくるのでは?」
という思いもあるんですけれどもね。

ここまで書いてふと、最初の会社で出会った男兄弟・男子校・男社会で育って来た、初めて出来た女性の部下が私だった上司に理解を求めるのに苦労した頃のことを思い出しましたが、

すでにこの記事もだいぶ長くなって来たので、いずれまた機会があったら書こうかと思います。

こちらも合わせてどうぞ。

ロリエ「kosei-ful」プロジェクトに私が感じる"コレジャナイ感"の話
実家にいた頃は母が買って来ていたのでもしかしたら棚に存在した時代もあったのかもしれないけれど、長らくロリエブランドを自宅...

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)