ドラマ『カラマーゾフの兄弟』 世界的文学作品の現代日本版リメイク!

テレビドラマ

往年の名作文学や過去にヒットした映像作品を、キャストを変えたり現代風にアレンジを加えたりしてリメイクしたものが世に出ること、というのは珍しいことではないでしょう。

個人的には金田一少年の事件簿(堂本剛さん版)やサトラレ(安藤政信さん版の映画)や花ざかりの君たちへ(堀北真希さん版)など、

「最初に出会ったものに対して思い入れが強すぎて、怖いのでリメイク版を観られない」

といった現象がよく起きることもあり、個人の判断によるところが大きいのも自覚しているのであまりリメイクに関する善し悪しをここで言おうとは思っていないのですが、

現代版リメイク、というフレーズにピンと来る、これはよかったな、と感じたドラマを思い出したので、今回紹介してみたいと思います。

原作はフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。現代日本を舞台にしたリメイク版です。

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ドラマ『カラマーゾフの兄弟』概要

ドラマ『カラマーゾフの兄弟』基本情報

『カラマーゾフの兄弟』は19世紀のロシア文学を代表する文豪であるフョードル・ドストエフスキーが最後に描いた長編小説を原作に、舞台を本ドラマ放送当時(2013年)の現代日本に移す形で製作された日本のドラマで、

物語のメインとなる「黒澤家」の三兄弟を市原隼人さん、斎藤工さん、林遣都さんが、黒澤家三兄弟の父親を吉田鋼太郎さんがそれぞれ演じています。

なお、本ドラマのキャッチコピーは以下の通り。

「原作ドストエフスキー。世界的問題作、ドラマ化。」
「父親を殺したのは、誰だ。」

ドラマ『カラマーゾフの兄弟』あらすじ

1月14日、黒澤家の当主・黒澤文蔵(くろさわぶんぞう/吉田鋼太郎さん)が自宅の寝室で殺害され、死因は鈍器で頭部を強打されたことによる脳挫傷および、脳内出血であることが解ります。

文蔵は不動産業「黒澤地所」を営んでおり、地方都市・烏目町一帯に多くの土地をもつ有力者。ただし自己中心的で利益優先の取引も絶えず、欲という欲を満たし、「クロサワの酒好き、金好き、女好き」と町中で揶揄されていました。それは家族にも及んでおり、暴力・暴言を振るい、周囲の誰からも愛されないような人物でした。

文蔵殺しの容疑者として警察から任意同行を求められたのは、前妻・梓との間に生まれた長男・満(みつる/斎藤工さん)、後妻・詩織との間に生まれた次男・勲(いさお/市川隼人さん)と三男・涼(りょう/林遣都さん)の黒澤家三兄弟。

兄弟にそれぞれに父・文蔵を殺す動機があり、刑事・入江悟史(いりえさとし/滝藤賢一さん)から執拗な取り調べを受けることになります。

なお、ドラマ全体は三部構成となっており、第一部では刑事・入江悟史からの取調べの中で露わとなっていく、事件当日に至るまでの父・文蔵への、兄弟一人一人の“殺意”の芽生えを生い立ちなどからたどっていき、第二部では、事件当日を、第三部では取り調べから判決までの真相解明を描いていく展開となっています。

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ドラマ『カラマーゾフの兄弟』のレビュー・感想

はじめに、ややネタバレ要素を含むのですが、もしすでにドストエフスキー氏の原作を読んだことがあるよ、という方、概ね事件の真相と犯人については原作に準拠しているので悪しからず、といった部分はあります。

なので、原作未読勢でこれからこのドラマを観たい、という方は、原作を手に取らずにそのまま観た方が面白いかもしれません。

私自身が原作未読の状態で当時リアルタイムで放映されていたドラマを観ていたからこそ、余計にそう感じるのかもしれませんが。

もちろん、主人公ともいえる三兄弟それぞれの俳優さんも素敵だったのですが、本ドラマに関しての個人的見どころは黒澤文蔵役の吉田鋼太郎さん、入江刑事役の滝藤賢一さんのまさに”怪演”ともいえる演技なんじゃないかなと思います。

文蔵に関しては三兄弟の誰が犯人になってもおかしくないほど彼らを追い詰めていく様も、今回殺されなかったら世に憚り続けたであろう憎まれっ子(?)ぶりも吉田鋼太郎さんが演じるととにかく”圧”が強いです。

『おっさんずラブ』が吉田鋼太郎さん初見ですくらいの方にとってはそのギャップに腰を抜かすかもしれない。

また入江刑事も、取調べにおいて、挑発とも取れるような煽り方をしながら三兄弟の父に大して芽生えていた殺意を暴き、真相解明に向けて追及の手を緩めない、その姿は迫力がありましたね。

あと、本ドラマについては音楽も良かったと感じています。

テレビドラマの多くはメインテーマや挿入歌など、そのドラマ用に新しくアーティストの方が曲を書いてタイアップするパターンが多いといえるでしょう。

同様のドラマだと他にはABBAの曲を起用していた『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』が挙げられますが、

この『カラマーゾフの兄弟』についても、ローリング・ストーンズの「Paint it,Black」やニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」など、過去の名曲の中から本作に合うものがピックアップされており、それがまた雰囲気を全く壊さないし物凄く合っている点がよかったな、と感じています。

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ドラマ『カラマーゾフの兄弟』まとめ

というわけで、ドラマ『カラマーゾフの兄弟』を紹介してきました。

原作の『カラマーゾフの兄弟』と比べてかなり現代日本の時代背景や設定に寄せられているので宗教観などでも違和感がなく、ミステリーとしても人間ドラマとしても楽しめる作品だと思いますので、よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)