映画『リリイ・シュシュのすべて』あらすじ・感想・レビュー

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蒼井優さんと山里亮太さんの結婚報道を受けてから、あの映画を観直したい!と思っていた作品があったのですが、最近なかなか時間が取れず……

ようやっと観ることができたので、今回の記事をしたためてみようと思い至りました。

というわけで、今回は蒼井優さんの映画初出演作でもある「リリイ・シュシュのすべて」という2001年に公開された作品ついて、レビュー・感想などを書いていきたいと思います。

映画『リリイ・シュシュのすべて』概要

『リリイ・シュシュのすべて』基本情報

『リリイ・シュシュのすべて』は2001年に公開された、岩井俊二さんが監督された日本の映画作品です。

市原隼人さん、忍成修吾さん、蒼井優さん、大沢たかおさん、稲森いずみさんなど、現在でも第一線で活躍されている方々が多く出演されている作品でもあります。

『リリィ・シュシュのすべて』あらすじ

大人しくて真面目な少年・蓮見雄一(はすみゆういち/市原隼人さん)。

そんな雄一は中学生になり、剣道部に入部したことで、同級生の星野修介(ほしのしゅうすけ/忍成修吾さん)と親しくなります。

優等生である星野は会社を経営する父と若く美しい母の元で育った裕福な家庭の子で、

美容室を営んでいる母親と2人で暮らす雄一にとっては何もかもが新鮮です。

ある日星野の家に泊まることになった雄一は、星野のススメでリリイ・シュシュという歌姫の存在を知り、彼女の音楽にどんどん魅了されていきます。

やがて夏休みを迎えた祐一と星野は他の剣道部の1年生たちと合わせて5人で沖縄旅行をすることに憧れます。

ですが、中学生の彼らに沖縄旅行へ行くための十分な資金が用意できるはずがありません。

諦めかけていた彼らでしたが、ある日裕福そうな男性が学生たちにカツアゲされている姿を目撃してしまいます。

星野がその学生たちから札束をかっぱらって無事に逃げ切ったことで大金を手にした5人は、手に入れたお金で憧れの沖縄旅行へと旅立ちます。

購入したハンディカメラを始終回し、若い女性のガイドにはしゃぎながら西表島を巡ることにした5人。

滞在中にガイドから西表島の向こう側に別名”神の島”とも呼ばれる新城(あらぐすく)島があることを聞いた星野は、

リリイの曲の1つである『アラベスク』の中に南の島が登場することを思い出し、シンパシーを感じます。

そんな星野は、ダツという危険か魚に襲われたり、海で溺れかけたりと2度も命の危険を感じる場面に遭遇します。

沖縄では7つの魂があるという言い伝えがあるのですが、そのうち2つをすでに失ったとされる星野は現地の年配の人から、命を大切にするようにと忠告を受けますが、

その矢先、島で出会った旅人が交通事故死してしまった姿を5人は目撃します。

そのことで気が動転したのか、残った札束を海にばら撒きながら不敵な笑みを浮かべる星野。

夏休みが終わって迎えた新学期、優等生星野の態度はすっかり変わってしまっていました。

星野はクラスで一番の不良だった犬伏にナイフを突き出して降伏させた後に、全裸で田んぼを泳がせた結果、犬伏は不登校に。

そしてそんな犬伏の手下たちを牛耳ることに成功した星野の次のターゲットは、気弱な雄一へと向かいました。

雄一は星野の手下たちのさらに手下の立場にいる佐々木や多田野といった同級生に指示されて万引きや窃盗に加担させられます。

そんな雄一の様子の変化に、再婚を検討していた彼の母親は気づきません。

万引きや窃盗に加担させられる他にも、自身のお小遣いさえも上納させられてしまう雄一は、

この頃唯一の心の拠り所であった、ドビュッシーへのオマージュともいわれているリリイの新譜を購入することができず、ついには万引きしてしまいます。

店員に捕まった雄一は、迎えに来た担任の小山内に代わりにCDを買ってもらえたものの、万引きの理由を口にすることはできませんでした。

しかし、雄一がイジメの件を担任にチクったと勘違いした星野たちによってその晩雄一は呼び出され、

星野たちがアジトにしている廃車置場で袋だたきにされた上に自慰行為を強要され、あげくにリリイの新譜も真っ二つにされるという悲惨な目にあいました。

そんな凄惨な状況下で唯一雄一の心を癒してくれたのは、やはりリリイの歌と、神秘的な彼女の存在そのものでした。

雄一はこの頃に”フィリア”というハンドルネームで、管理人として「リリフィリア」というサイトを立ち上げ、日々の苦しい思いから逃れるように、思いをぶつけるように、日々リリイへの想いを書き込んでいました。

掲示板にはさまざまなリリイファンの人たちが訪れ、それぞれの想いを綴っていましたが、雄一は中でも”青猫”という名前で書き込んでいるファンと共鳴するものを感じ、”青猫”とのチャットでの交流

この頃雄一は、リリイのファンサイト『リリフィリア』を立ち上げ、“フィリア”というハンドルネームで管理人を始めます。

サイトには多くのリリイファンが集い、掲示板に様々な意見が飛び交うようになりました。

雄一も日々の鬱屈とした苦しみをぶつけるように、リリイへの想いを綴ります。

そんな中で雄一は “青猫”と名乗るファンと共鳴するものを感じ、特に”青猫”とのチャットを楽しむようになりました。

やがて中学2年に進級した雄一は星ととは別のクラスになりますが、それでもイジメられているという状況は変わりません。

そして星野の悪行はこの頃には女子生徒にも及ぶようになります。

星野に弱みを握られてしまった、雄一と同じクラスの津田詩織(つだしおり/蒼井優さん)は、星野によって援助交際をさせられ、お金をせしめられるようになっていました。

そして、そんな津田が「仕事中」に逃げないように見張りをさせられたのが雄一でした。しかし彼自身、津田に救いの手を差し伸べることもできません。

そんな雄一を蹴り飛ばすという八つ当たりをした津田は「仕事」で入手した金を踏みつけ、まるで体を洗おうとでもいうようにドブ川の中へと飛び込んでいきました。

そんな雄一と津田のクラスには、ピアノが得意な久野陽子(くのようこ/伊藤歩さん)がいました。彼女は音楽室でよく、リリイにも影響を与えたドビュッシーの曲を練習しています。

そんな久野に以前から想いを寄せていた雄一は、久野の演奏にこっそりと耳を傾けていました。

そして星野もまた久野に片思いをしている1人でした。彼は小学校時代から久野と親交があり、また、実は彼にリリイの存在を教えたのも久野だったのです。

そうして男子に人気のある久野でしたが、一方でクラスの女子の中心的存在である神崎すみか(かんざきすみか/松田一沙さん)は彼女のことが気に入らず、皆の前で久野に嫌がらせをしていました。

そしてとうとう神崎は星野に、久野を「シメる」ように依頼。

神崎からの依頼に対して、久野を廃墟と化した工場に呼び出した星野。かつて自分の両親が経営しており、会社が倒産した後は一家離散状態になったこの廃工場で、星野は手下たちに彼女を暴行させます。

久野を呼び出す係だった雄一は、ただ泣くことしかできませんでした。

そしてその日も自分の見張り役をさせられていた雄一に、津田は

「あんたが私を守ってよ」

と呟いてみますが、雄一の落ち込む様子から、津田は久野が痛い目にあった事を察します。雄一が久野に想いを寄せていたことに津田は気づいていたのです。

「久野さんはきっと大丈夫だよ。強い人だから」

自分も辛い中、そんな風に雄一を励ました津田の言葉通り、まだらな坊主頭で久野は翌日登校しました。

それは、暴行を受け、さらには津田と同様「仕事」を強要させられそうになった久野なりの、強い意志の表明でした。

彼女の事情を察している中で彼女のそんな姿を目にした津田は、涙を堪えきれませんでした。そして久野のように強くあれなかった津田は、放課後に鉄塔から飛び降りて自殺してしまいました。

久野の身に起きた事件。そして津田の死。これらの出来ごとは雄一の心に重くのしかかり、彼はしばらく、唯一の心の拠り所であった「リリフィリア」の掲示板に書き込むことすらできませんでした。

しかし、やがて雄一は、死のうとして死にきれなかった自分の胸中をそっと綴ります。

そこには、”青猫”からの心強いエール。

「同じ痛みにいるから」

津田の死を受け、そろそろ星野をシメないと、という意見が出るようになりましたが、誰も行動を起こそうとはしませんでした。

しかし”青猫”からのエールの心強さに、雄一はささやかですが行動を起こすことを試みます。

テスト中に吐いて保健室に運ばれた雄一は、

「頭の中に音楽が聴こえる」

と担任の小山内や養護教諭に訴えながら、割られてしまったリリイのCDとともに星野の名を告げました。

しかし、結局大人たちは何もしてはくれませんでした。

そうしてその年の12月。念願のリリイのライブの日に、雄一は”青猫”とライブ会場で会う約束をします。

“青猫”の目印は”青林檎”

入場口への列の中で雄一が見つけた青林檎の持ち主は、なんとあの星野でした。

ショックとともに、なんとか星野に見つからないようにと身を隠そうとした雄一でしたが、残念なことにすぐにバレてしまいます。

そして、”フィリア”の正体を知らない星野は、自分よりいい席のチケットを持つ雄一に飲み物を買いに行かせている間に、雄一のチケットをクシャクシャに丸めて投げ捨ててしまいます。

会場に入ることもできず、目印の青林檎を持たされて呆然と立ち尽くす雄一。

しかし彼はライブ終了後の混雑の中で、突然こう叫びました。

「リリイがいるぞ!」

リリイの姿を求めて、会場方面へと一斉に逆流していく人の波。その混雑の中で星野の背後についた雄一は、彼をナイフで刺し殺しました。

刃先を青林檎に突き刺して隠し、足早にその場を去る雄一。星野のことにも、そんな雄一のことにも、気づく人はいません。

その後、捕まることもなく中学3年になった雄一は、心境の変化からなのか、夏休みに初めて母親に髪を染めてもらいました。

あの一件から成績が急落していた雄一は小山内から学校に呼び出されますが、

リリイのCDを万引きした件では迎えには来てくれたものの、星野の件では何も動いてくれなかった小山内とは、深い話にはなりません。

面談後、雄一は小山内に頼まれて音楽室へと向かいました。

部活の練習を終えてもなお音楽室でピアノを弾き続けている久野に、もう帰るようにとの伝言を頼まれたからです。

依頼通りに音楽室までは来ましたが、演奏に没頭している久野に話しかけることができず、雄一は呆然と立ち尽くしていました。

ドビュッシーの美しい旋律が音楽室に響く中、この映画は幕を閉じます。

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『リリィ・シュシュのすべて』のレビュー・感想

「スクールカースト」

という言葉が今では広く認知されるようになったと思いますが、おそらくこの映画が公開された当時はなかったんだろうな、と推測しますが、

その微妙なパワーバランスであったり、独特の閉塞感だったり、思春期だからこその、自分では向き合いきれず扱いきれない感情だとか、

また、真にSOSを出していても大人が介入してこない(できないのか気づいていないのかあえてかいなしないのかはさておき)ところも、

描かれている内容はもっと極端でショッキングで、だからこそ自分の思い出の中にああ!と唸るほどの共感できるエピソードはないものの、なんとなくわかるというか、

そういった感覚を全編通して味わったように思います。

この映画では、事件も、それぞれの登場人物に起きた問題も、何も解決されておらず、それらしい結論もなく、陰鬱で不安を残したまま終わっていくので、

ハッピーエンドを望まないまでも、鑑賞後に上記のようなモヤモヤっとした気分を残してしまう作品があまり好きではない方にはオススメできません。

ただ、フィクションにありがちな勧善懲悪の思想や展開ではなく、イジメ!ダメ絶対!と頭ごなしに諭しに来るわけでもなかった点は、この作品のいいところなのではないかなと感じています。

(イジメ自体はダメなことだとは思っているのですが)

そういう意味では、この思春期特有のアンバランスさ、危うさを包み込んで隠し、

「青春」

という甘酸っぱい仕上がりにしちゃったような中高生がメインの作品が多い世の中、見飽きたなぁ、もうお腹いっぱいかなぁ、と感じるような時には、

ふと観てみてもいい作品かもしれません。

あと、本作が映画初出演の市原隼人さん&蒼井優さんの幼さの残る顔立ちはやっぱり一見の価値アリです(笑)

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映画『リリィ・シュシュのすべて』まとめ

というわけで、映画『リリイ・シュシュのすべて』を紹介してきました。

ちなみに『リリイ・シュシュのすべて』ですが、Amazonプライム会員はプライム・ビデオで鑑賞することができます。

よかったらぜひこの機会に観てみてください。

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)

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