ドラマ『魔王』 復讐の先にはどんな結末が待っているのか

テレビドラマ

前回、同じ嵐のメンバーである二宮和也さん主演のドラマ『流星の絆』を紹介しました。

上記のドラマは両親の仇と2人がなくなってしまった事件の真相に迫っていく、という物語でありながらクドカン・テイスト満載の、笑いあり涙ありな作品に仕上がっていましたが、

その前のクールで放送された、大野智さん主演のドラマ『魔王』は、自身の弟を殺害した犯人とその周辺人物に迫り、復讐を遂げていくというダークな作品に仕上がっていました。

というわけで、今回はそんなドラマ『魔王』について紹介していきたいと思います。

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ドラマ『魔王』概要

『魔王』基本情報

『魔王』は、韓国の同名ドラマの日本リメイク版として2008年にTBS系列で放送されたドラマです。舞台が日本に移ったことで、文化的な背景の面などから細かな設定が変更されています。

主演は弟の復讐を誓う弁護士・成瀬領(なるせりょう)を大野智さんが、領の弟を刺殺した過去を持ち、復讐の標的となっている刑事・芹沢直人(せりざわなおと)を生田斗真さんが演じています。

なお、このドラマは大野智さんにとっては初の連続テレビドラマ出演作であるとともに、初主演作品ともなりました。

そして、主題歌には嵐の『truth』が起用されており、このドラマの次のクールで放送されたのが『流星の絆』ということもあって、嵐メンバー主演&主題歌担当ドラマが2期続いた形となりました。

ここからは完全に余談になりますが、個人的に嵐の楽曲の中で一番好きなのがこのドラマの主題歌となった『truth』だったりします。

最近の動画解禁でこの曲のMVをまた観られたのがとても嬉しかったですね。

『魔王』あらすじ

成瀬弁護士事務所の所長である弁護士・成瀬領は、利益度外視で社会的弱者の弁護を引き受ける姿から、世間ではは弱きを助け強きを挫く“天使の弁護士”と呼ばれていました。

しかし、一見物腰柔らかく誰にでも優しく接する彼の心のうちには、ある強い思いがありました。

それは、11年前に弟を殺害した犯人たちへの復讐を成し遂げる、というもの。

領は”雨野真実(あまのまこと)”という名前で、弟殺害の主犯である芹沢直人とその事件に関わった人々に対し、次々と、そして様々な形で復讐を遂行していきます。

一方、警視庁渋谷東署の刑事課強行犯係の巡査長・芹沢直人は、世の中の悪を憎む、正義感あふれる青年。検挙率ナンバーワンでもある。

ただそれには、過去に自分自身が犯した、領の弟である英雄を刺殺したという罪を精算するという意味合いもありました。

“雨野真実”こと成瀬領の当初の復讐方法が、自分ではなく自分にとって身近な人物たちを不幸に陥れるという方法だったため、犯人に対して怒りを覚えたこともありましたが、

やがて領の正体を突き止めた際の彼の態度から、彼が復讐という行為で、直人自身が過去の事件に対して感じてきたものと同様の自責の念や罪の重さに苦しんでいることを察知した直人は、

過去のこともさることながら、領を復讐に駆り立ててしまった事自体についても罪悪感を覚えることになっていきます。

そして、父と兄を立て続けに失ってしまった直人は、もはや領の復讐を終わらせられるのは自分しかいないと、署から無断で拳銃を持ち出し、領のもとへ。

復讐の終わりに、領と直人、それぞれが迎える結末やいかに…?!

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『魔王』のレビュー・感想

大野智さんの鬼気迫る演技が魅力!

『魔王』について話そうとした時、まず伝えなければならない、と思うのがこれ。

普段はどちらかというとほんわかした雰囲気、というイメージの方が強い気がする大野智さんですが、

このドラマではそんな普段の彼を感じさせない、復讐に燃え、命を賭した「成瀬領」としての凄まじいまでの演技に、思わず息を呑んでしまいます。

「普段のその人自身を感じさせない」という意味では、最近事務所を退所した中居正広さんの『白い影』や『砂の器』での演技も好きだったなぁ。

また、弟だけではなく、その弟が亡くなったことでショックを受けて持病が悪化したことで喪ってしまった母のためにと復讐を誓いながらも、

「成瀬領」の姉・真紀子や、弟の英雄の事件の際に第一発見者として証言してくれた、サイコメトリー能力を持つ女性・しおりとの触れ合いの中で、

もう後戻りはできないと自分を奮い立たせながらも心が揺れるそんな彼の悲哀の姿も見事でした。

いやぁ、本当に連続テレビドラマ初出演だったのか、という感じですね。

復讐劇の結末シーンが涙なしでは見られない

11年前の事件に携わった彼の身近な友人や家族を次々と葬り去って行く(全員が亡くなったわけではありませんが)ことで外堀埋め、

そして最後に真のターゲット=直人に迫りゆく、という復讐劇の進み方、という点では、

近年放送され、当ブログでも紹介したアニメ『91Days』を思い出すところでもありますが、

他方、終り方に関しては後年、やはり生田斗真さんが出演されているドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』と近いものがあるような気がします。

ネタバレにはなってしまいますが、成瀬領が復讐の結末として選んだのが、芹沢直人の命の灯火を消すことではなく、彼に11年前に受けるはずだった法的裁きを受けさせることであった、というのがこの物語の大きなポイントだと思います。

「復讐」は成し遂げてしまったその後に、燃え尽き症候群というか、そのためだけに生きてきた結果、終わってしまうと何のために生きたら良いのかという問いにぶつかりがちですよね。

物語としては明るい方向に何か別の、自分のために生きて良いんだという、未来を歩んでいく幕引きを迎えるか、

はたまた成瀬領のように始めから、復讐を成し遂げたというピリオドの向こう側を考えずに突き進む結末を迎えるか、

大別するとこのどちらかに二分されていくことになるケースが多いように思います。

個人的には後者のタイプの物語の方が実は好きなんですが、どうしても、現実はさておき物語の中だけでも救いを求めたいタイプの方にはショッキングな終わり方なのかもしれません。

ただ、大野智さんも、生田斗真さんも、どちらの演技も迫真だったからこそ、お涙ちょうだいに感じさせない、心に残るある種「美しい物語」として、今でも私の中ではとても印象深く残っているドラマのひとつです。

ドラマ『魔王』まとめ

というわけで、ドラマ『魔王』を紹介してきました。

自分でも観てみたい!と思った方はよかったらぜひこの機会!

この記事を書いた人:藤代あかり(@akari_fujishiro)